〜某所より抜粋〜
「マリアン!」
「え?」
「マリアン、もしも……もしもだよ、もしも僕が死んだら、どうする?」
「えぇ?」
「答えてくれ!」
「そぅね……多分……ずっと涙が止まらないでしょうね?」
「どれくらい!?」
「どれくらい……って、どうかしら?」
「一週間かい? 一ヶ月かい? それとも、一年かい?」
「一生よ。ずっとあなたの事…」
「嘘だ! 一生なんて泣き続けられるものかっ!! しばらくは泣いてくれるだろうさっ!
でも、いつかは僕の知らない誰かと出会って、恋をして、結婚をして、子供を産んで……
そして僕のことは忘れる! 僕はなくなる! 世界中のどこにも僕なんかいなかったことになる!
消えるんだ! いいかいっ!? 消え失せるんだッ!!」
「エミリオ」
「〜〜〜〜」
「……」
「すまない、気が立っていて……それじゃ、また後で」
「エミリオ」
「早くいった方がいい、ヒューゴが待ちかねている……」
「舞踏会!」
「ああ」
「色々あったけど、楽しかった! 夢みたいだったわ!」
「ありがとう……僕も、夢みたいだった……本当に……夢みたいだったよ、マリアン」
「シャル……」
「はい……坊っちゃん」
「これから始まる戦いは僕の戦いだ。お前が命をかける必要はないし、それだけの価値もない。
ここで再び眠りにつけ。水が流れ込んで海底にしばらく沈むことになるだろうが、
また1000年後にでも、誰かが拾ってくれるだろう……」
「冗談はやめてくださいよ」
「これは命令だ! ソーディアンマスターとして、ソーディアンシャルティエに命ずる。
機能を停止して、眠りにつけ!」
「お断りしますよ、坊っちゃん」
「お前……」
「これから始まる戦いが、坊っちゃんの戦いなんだとしたら、
それは僕の戦いでもあります。だから……眠りません。戦います」
「フッ」
「それに、僕がいないと、坊っちゃん、からきしじゃないですか」
「馬鹿が……」
「マスターに似るんですよ、きっと……」
「……シャル」
「はい?」
「初めて僕の命令に逆らったな……」
「フフフ……そうですね……エミリオ、坊っちゃん……」
「ここから先へ通すわけにはいかないな」
「リオン? そこを退いてくれ! リオン! 出来ることなら、俺は戦いたくない!」
「敢えて戦いたいわけでもないが、やるなら遠慮はしない……」
「リオンさん! 何故です!」
「僕には守るべき人がいる!」