朝一番、公園関係者が来ないうちにPキャンプの撤収を開始する。普段は、車内泊をする場合、よけいな荷物は持ってこないのだが、今回はオートキャンプ用具一式持参である。
車内を整理してから、前夜にブルーシートに包んで出して置いた荷物を積むとなればけっこうな朝仕事だ。
オートキャンプもできず、さらにりんどう湖観光もオシャカにした罪滅ぼしというか、子どもたちをぬか喜びさせてしまった気持ちもあって、筆者は家族には内緒でハイランドパークへ向けて那須高原道路をひた走る。
昨日はあんなに渋滞していた道も今の時間帯では嘘のようだ。7時半頃には駐車場に到着。子供たちの目が輝きだした。がら空きだった駐車場も8時の開園時間にはかなり混み始めてきて、いくつかある入場ゲートには数十メートルの列ができている。我々も朝一番に来たわりには入場するのに30分くらい要してしまった。
半日ほど遊んだ後、いよいよ今日こそは猪苗代湖畔で念願のオートキャンプを!と意気込んで出発。白河市に来たところで、かねてより興味のあった羽鳥湖高原レジーナの森 Coleman Camp Groundの看板を発見。当然のごとく見学を強行する。白河からは、かなりの山道を走らねばならなかったが、釣りやカヌーが楽しめる人造湖を囲んで、温泉施設やコテージ型ホテル、スポーツ施設が整う、噂にたぐわぬすばらしい環境のキャンプ場であった。
さて、昨日と同じ轍を踏まぬためにも早めに猪苗代湖へ行ってキャンプ場を見つけたい。地図をちらっと見たかぎりでは湖南町へ通じるりっぱな道路があるようだ。羽鳥湖西側を北上しながら羽鳥ダムの交差点へ来たところで、筆者は何を思ったか地図を再確認することも無しでR118を会津田島の方へ曲がってしまう。湖南町へ行くには逆方向だ。まあ、ちと遠回りだが幹線道路でもあるし猪苗代湖へは行けるだろう、ということでそのまま走っていると、大平と言うところで湖南方面という道路標識が目に入る。
「ラッキー(^_^)v ここからも行けるんか。」
迷うことなくそちらの道へ吸い込まれる。
しばらく走ると舗装路が砂利道に変わる。やや不安になったので、たまたまそこで休憩していたRVグループの若者達に行程とおおよその距離を尋ねてみる。すると、かなり悪路ではあるが、湖南へも通じており通行車もあると教えてくれた。林道走行はもともと好きであり、通行車もあるわけだから何の心配もない。不安があるとすれば燃料メーターが残1/4を指していることだけだ。それでも距離的には十分だろう。
峠に向かって林道を進むと、大型RVの先行車が1台。悪路はかなりひどい。とがった岩がごろごろ、路面の凹凸は最悪。まるで河原を走っているようなかつてないほどの極悪道路だった。車の底を突き上げること数回、エンジンを保護しているプラスチックの板が割れてしまった。慎重に運転していたため、いつのまにか先行車もいなくなってしまった。やがて自転車で走破しようとする若者グループ数名に追い着く。
「自転車とはすごいねえ・・けっこう好き者がいるんだなあ。」
などと感心しながら走っていると、こんどはRVの対向車が1台。自転車でも行けるということは、たいした距離でも無さそうだし、道は極悪でも峠を過ぎれば少しはましになるだろうとそのまま進行。やがてT字路へぶつかる。
やや道幅が広く路面状態の良さそうな道を選んで左へ曲がる。尾根の近くを走るため景色はたいへん良い。しばらくアドベンチャー気分で尾根づたいに続く林道走行の楽しさを満喫する。いったいどのくらい走ったのだろうか。人気が無くなり、道の状態がしだいに悪くなっているように感じる。岩が崩れ落ちていたり、工事中で道がドロドロにぬかるんでいたり、路肩が弱そうな場所もいくつかあったが、どうにかこうにか切り抜ける。
「おいおい大丈夫かい・・・対向車がさっぱり来ないなあ・・・」
などと話しながら走り続けていると、崖のカーブを曲がったとたん、道が忽然と消えて無くなっているではないか! (◎◎) (◎◎)・・・
「くそー!何なんだよ!! せっかくここまで来たのにまた戻らにゃならんのかい。」
おもわず燃料メーターを凝視する。と同時に冷や汗が出そうになる。車を降りて調べてみると、そこから先の道は数十メートルに渡り山肌が崩れて埋まった状態だった。周囲は高ーい山だらけ。もちろん携帯は圏外だ。おまけに突然雲行きが怪しくなってポツリポツリと雨が降ってきた。
「うっ!やばー・・・さっきのぬかるみにはまったら・・まして帰路に土砂崩れでも起こされた日にゃ、絶海の・・いやいや陸の孤島に取り残されてしまうやないかい・・・」「絶体絶命のピンチや。暗くなってしもたら滑落事故もありうるで!!」 (~_~;;;ナンノコッチャ
さすがの筆者も、一瞬不吉なことを考えたせいか背筋が寒くなる感じがした。しかし、子供たちの手前、強い親父でなければならないだろう。(-_-;)ウーム
内心とはうらはらに明るく冗談を飛ばしながらも、燃料節約のため即エアコンを止め、片目で前方を、片目で燃料メーターを凝視しながら慎重にゆっくりと逆戻りを開始したのであった。
ようやく例のT字路へたどり着いたときには、さすがにもう一方の道をトライする気にもなれずそのままR118まで戻ってしまった。ここで大きく一息、「いやぁほんとにびっくりしたね。」
思わぬハプニングで時間を食ってしまった上、雨まで降ってきたとあってはキャンプをする気も失せてしまう。猪苗代湖へは寄らずに会津若松から磐越道に乗ってまっすぐ帰宅じゃ。給油を済ませ、一路会津若松市へ。ところがインターチェンジから高速を覗くと、車の列がまぐろ状態。下の娘は先の林道の疲れと風邪のためかゲロゲロ状態。しかたなく喜多方市方面へ大きく進路変更して、大峠コースを選んで21時、無事に帰宅できました。
翌日は家族全員体調が悪く、喉はひりひり頭はボー、体はだるく熱っぽい。特に女房は症状がひどく一日中起きあがれませんでした。もしかしてキャンプができなかったことが正解だったのかも。
\(^o^)/
座右の銘:「見知らぬ土地の林道には気をつけるべし。断行か断念かすばやく見極めるべし。」いやはや散々な連休でした。
この旅からしばらくして、いったいあの林道は何だったのかというわけで調べてみました。
羽鳥湖周辺の地図を見たり、インターネットで検索したところ、どうやら大平から馬入峠を越えて湖南町へ行くはずだったのが、会津若松の東山温泉へ通じる安藤峠のある黒沢林道へ入ってしまったらしい事が解りました。安藤峠をキーワードに検索すると、極悪非道な道のことや、例のT字路のことも書いてありましたので、おそらくそうに違いないと思います。平成14年3月30日〜31日にかけて再挑戦してきた記録が秘境・林道情報7にあります。