こんなタイトルだと、海老原って奴はきっと医療関係に詳しいに違いないなんて思わないで下さいね。
私が知っていることなんて、普通一般の人たちと変わらないか、多分それ以下。
でも最近、病気をしたり家族が入院したりということが続き、どうしても今の医療体制に不満を持ってしまうんです。
私の父親はC型肝炎です。そして夫の父親も。
C型肝炎は風邪みたいにどこからか伝染るという病気ではありません。
昔、まだC型肝炎なんて知られていなかった頃、輸血から感染した人が多いようです。
私の父親も子供の頃何かの事故で腕をケガをし、そこからバイキンが入って骨膜炎を 起こして手術が必要になって、その手術の際に輸血をしました。
その輸血からの感染です。
その時代の感染者への国の対応も不満ですが、それはまず置いておきます。
私が不満なのは病院の対応です。
実際私が医者から言われた訳では無いのでどう言われたかはわかりませんが、多分どの医者もこう言うハズです。
『あなたはC型肝炎です。まず治る見込みはありません』
大げさかもしれませんが、大体こんなことを言っていると思います。
その言葉を聞いたとき、患者のショックはどれほどのものでしょう?
『治らない』なんて言われたら、もう死んでしまうんじゃないかなっていう不安に襲われると思います。
詳しく言えば、
『あなたはC型肝炎です。C型肝炎は治るのが難しい病気です。慢性肝炎から肝硬変、いずれ肝臓ガンへ進みます。治療法はインターフェロンなどがありますが、副作用もありますし効かない場合もあります』
・・・どうですか?もし自分がそんなことを言われたとしたら。
いずれ癌になる。
それだけで死の宣告を受けたような気分になるんじゃないでしょうか?
私の父親と夫の父親 はそんなことを医者から言われている訳です。
私の父親はわりと早期のうちから病気が進行しないように治療を受けています。
夫の父親はかなり進行してから治療を受けました。
ただこれは、本人がお酒好きということと病院嫌いということが重なって、進行をかなり進めてしまったものと思われます。
義父は 私が結婚する前に盲腸で入院しました。
その時にC型肝炎のキャリアだということがわかって、病院から通院するようにと言われたと思います。
家族もそれを知っていたのですが、本人が大丈夫だと言い張り、病院には行かずじまい。
顔色が悪いのに、ことあるごとに好きなお酒を飲んでいました。
実際に病院へ行ったのは倒れてから。
義父は数年前にリストラされ、ずっと仕事がなく、それもストレスになっていたのでしょう。
胃潰瘍を何度かやって、やはりそのうち病院に行かなくなったようです。
肝炎ではなく、胃ガンでした。
胃の3分の2を切除しました。
手術の際の精密検査で、C型肝炎の状況もわかりました。
これまでのツケは大きく、肝硬変へと進行していたんじゃないかと思います。
退院後、体の不調を訴えて、義父は以前より部屋に籠るようになりました。
胃を切除したのですから、あまりごはんも食べれません。
消化器系が弱っている訳ですから、下痢にも苦しんでいたようです。
そんなある日、義父が失踪しました。
最初のうちは電話も通じて、私も少し話をしました。
内容は自分がもう必要ないんだ、迷惑をかけるからいなくなる、そんな感じでした。
多分、失踪当時は死を覚悟していたのではと思います。
私たちは警察に失踪届けを出し、1週間後無事保護されました。
義父は何を思い、その1週間をさすらっていたのでしょうか。
義父は多分うつ病だったと思います。
自分の体が思うように動かない、病気も治らない、家族には迷惑をかける、自暴自棄になっていたのではと思います。
自分のことでもう頭がいっぱいで、家族がどう思うか、そこまで思いやる余裕もありません。
家族もまた追い詰められていきます。
義父が失踪中、家族の心労は多大なものです。
義父は最初の時のようなことはしなくなりましたが、その後も2、3度家出を繰り返しまた。
そして義母がそれに耐えられなくなりました。
ストレスで手足が震えるようになったのです。
家族と相談した結果、義母は家を出た方が良いということになり、現在は義父と離れて暮らしています。
私が何を言いたいのかというと、『心のケア』です。
こう言ってはなんですが、医者は『必ず治る』という事は言いません。
いつも最悪の事態を想定して話をします。
私の母方の叔母が心臓発作で救急車で病院に運ばれ、落ち着いてからお見舞いに行きました。
もう少しで退院できそうでしたが、精密検査を受けるかどうか悩んでしました。
「心臓に管を通して、中を見るんだって。原因がわからない時はわざと心臓発作を起こすかもしれないんだって。そんな苦しいのやだよねぇ。最悪死んじゃうかもしれないじゃん」
そう、もしかしたら心臓が止まってしまうかもしれない。
医者はそうやって最悪の場合のみを患者に伝えるのです。
病気に対する不安、それはどんな病気でも患者は持っています。
『あなたは病気ですよ。こんな風に悪いんですよ』だけじゃなくて、患者の不安を軽減する努力をして欲しいのです。
重い病気になれば尚更、うつ病になる人も多いのです。
今まで、心のケアまでやってくれるという医療を友人知人からは聞いたことはありません。
実際、地方の病院などはそういった専門医がいないという現実もあります。
でも。でも私は。
悪戯に不安をあおる現代医療のやり方がどうも許せません。
心と身体は一つです。
身体が病めば心も病むし、心が病めば身体も病むのです。
『病は気(心)から』=病気。
そうじゃないでしょうか?
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