10月23日(土) 午後  P9
 マントン(昼食)→ニース市内→ホテル

1 マントンMenton
 雨のモナコMonacoからマントンに移動して、その様相は一転した。午後になって、太陽が顔を出し始めたせいもあるのだろうが、少し肌寒いものの、やっとコート・ダ・ジュールCote d'Azurの雰囲気を少し味わうことが出来た。海岸では何人かの人が泳ぎ初め、トップレスで日光浴を始めた人もいるらしい。(←チームメイトからの証言)
 ここはイタリアに接する町で、海に接したのんびりした雰囲気の街並みである。海辺の町とは言え、日本の港町で感じるような海や魚の臭いは全iくなく、柔らかな風に乗って、店先にあるハーブなどの匂いや女の人たちの香水の匂いの方が強いくらいであった。街なかも、黄色や赤を中心に樹木の緑も含めて多くの色に溢れ、これにまだ経験していない抜けるような青空と紺碧の海が加われば完璧な南仏の色彩になるものと思われた。街のいたる所には大小の公園が配置され、まさに街中が緑の公園の雰囲気を醸し出している。


写真1 街なかの公園

 海岸沿いの太陽の遊歩道Promenade du Soleil(幅5m)を歩いて目立つのは地中海に突きだした形の人工島であった。これは何の目的で作られたのかは想像するしかないが、島内は芝生を張り、ベンチを置いた公園として整備され、少なくとも「見る←→見られる」の関係からすれば海岸や太陽の遊歩道と対を成すものであり、人工島で休んだり散歩している人たちからすれば、マントンの街と向かい合った形で和みの空間を作っていた。
 



写真2 人工島遠景(手前は太陽の遊歩道)

 人工島の先端には自然の石を配した消波堤があった。日本海ほどの海の荒れは無いであろうが、公園側から海を見ても石の消波堤には全く違和感が無く、日本では間違いなくコンクリート製のブロックを置くであろうと考えると、景観的な面だけでなく、彼我の意識の違いを感じさせられた。

写真3 島内の公園(対岸はマントンの街)

 人工島の付け根には海辺にあった要塞を利用したというジャン・コクトー美術館Musee Jean Cocteauがあった。ここは時間の関係で見ることができなかったが、著名な芸術家の美術館が街の一部と化して存在する風景はうらやましい事の一つと思われた。後日訪れたマティス美術館Musee Matisseやシャガール美術館Musee National Message Biblique Marc Chagallで彼らの絵や彫刻を直接見る機会があったが、才能に満ち溢れた天才たちが、自分の体の中から自然と出てくるセンスを呻吟しながらもカンバスにぶつけていった様子が思い浮かばれる。特にマティスが人魚を描いた一連の作品を見た時は、体の内部から沸々と出てくる才能を次々に紙に描いていったであろうその時をありありと想像することが出来た。
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