10月25日(水)    (トレド)  P14
バルセロナ・ホテル(7:15)[バス]→(9:25)[JK-431]→(10:35)マドリッド[バス]→トレド・ホテル(12:00)→市内視察→昼食→ホテル→夕食(20:00)

1 高規格国道と緩衝盛土
 早朝にバルセロナのホテルを立ち、空路マドリッドに到着。貸切バスに乗換え陸路トレドに向う。
 都市間を結ぶ主要な国道は高規格道路として整備されている。中央分離帯を設けた4〜6車線の道路で、制限速度100〜120km/h、無料である。もちろん有料の高速道路も有る。高規格国道は低盛土で造り、これを跨ぐ従道路はオーバーブリッジで処理している。スペインでは都市に人口が集中し、郊外に散在する町が少ない。従って、郊外の道路密度は日本に比べはるかに低い。低盛土工法は、スペインの地勢から生まれた、トータル的に経済的な手法と言える。道路密度が高い日本ではこうはいかない。
 丘陵地の高規格道は、地形に合わせて上り下りの車線高さを変えた、高低分離方式の道づくりが行われている。自然の環境や景観に優しくかつ経済的な工法であり、欧州諸国と同様、この地でも普通に採用されている。


写真1 緩衝盛土

 一般道路からの乗り入れはY字型平面交差の簡易的なランプを採用し、市街地を通過する区間では高規格国道の外側に更に緩速車線を設け、住民の用に供している。また、居住地の区間では騒音対策として高い緩衝盛土を設けている。
 低草で覆われた盛土には起伏を設け、寝転んで風景を楽しむ心地よい視点場をかたちづくっている。緩衝盛土を含めた一帯は緑地公園として整備している。道路への進入防止柵は路側に設置されており、緩衝盛土を含め一体的に利用できるよう配慮されている。
 
2 中世都市トレド

写真2 トレド

 16世紀にマドリッドに遷都されるまでのスペインの古都である。キリスト教文化は、この地でイスラム、ユダヤと共存し、融合することによって、他のヨーロッパ諸国には見られない特色あるスペイン文化に生まれ変わった。
 トレドの町を包み込むようにタホ川が流れていて、対岸沿いの道路は町を見る数多くの視点を与えている。峡谷状のタホ川がコンケーブ地形となり、実際は径1km程の城塞都市が、実体以上の広がりを持って見る人を圧倒する。町に入り、街のスケールを体感した時、その事を強く感じる。

3 迷路の町トレド
 トレドは中世の街並みが残る、迷路の町である。迷路は都市防御の目的で、恣意的と思われるような形で、造り重ねられてきた。この迷路を舞台に、覇権をめぐる民族間の戦いが幾度となく繰り返されたに違いない。幾多の民族と宗教と文化がかつてこの地に存在した。その証として、文化が重層したかたちで町の中に残されている。


写真3 トレドの街並み

 迷路は数多くの分節された空間を形成する。それに加え、トレドが丘陵地に造られたことで、迷路自体の平面的な分節に縦断的な分節が絡み合い、様々な特色ある空間を形作っている。空間は分節されることで個々の独自性を主張する。
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