10月29日(日)     (セビリア)  P25

写真4 サンタ・クルス地区でおばあちゃんと

 サンタ・クルス地区はアルカサルの北側に一角を占めるかつてのユダヤ人街で、入り組んだ細い路地が迷路状にあり、アメリカから来たおばあちゃんたちの旅行者が観光していた。

写真5 ライオンの門

 ライオンの門(Puerta del Leon)からアルカサルに入った。アルカサルはスペインを統治した歴代国家の宮殿で、セビリアに残る最古の非宗教建築であるが、長い歴史の中で各時代に歴代の王様達の足跡を残すものである。新大陸への二度目の航海を終えたコロンブスもこの宮殿で国王に謁見し、皇帝カルロス5世がポルトガルの美しい王女イサベルとの婚約の儀を行ったのもここだという。


写真6 結婚式(この二人の十年後を見てみたい)

 そのせいか、当日はちょっと見ただけで3組もの結婚式が行われていた。
 アルカサルは中世に建築が始まったが、時代
 
と共に拡大・改築されてきたためゴシック、ルネッサンス、バロック、ムデハル様式という時代ごとの特徴的な美術様式を見ることが出来、それぞれの時代の美しい建築群で構成されている。特に「ペドロ一世の宮殿」「提督の間」「乙女の中庭」等の外壁や部屋のモザイクや柱の彫刻はフランスのパリや南仏のそれらとまた違う雰囲気を持っており、不思議な世界へ導かれた。

写真7 イスラム時代から残されている壁

 アルカサルはその古い歴史、美しさ、建築学的価値が認められ、1987年ユネスコにより世界遺産に指定された。
 特に今回スペインの各種建築物や構造物で感じたのが、中心に何か(例えば噴水等)を置いて、その周りに同心円状又は放射状に園路や草木を配置するという手法であり、アルカサルでも水や水路を上手に使いながらこのような手法で庭園等を構成していた。また、これらは各都市でカテドラル(Catedral)を中心に町を発展させるという形式にもつながっていると思われる。セビリアでもカテドラル中心の町造りで、その中にあるヒラルダの塔(Giralda)(このブロンズ製の羽根を持った女性像は風を受けることにより回転する構造からヒラルダ(風見)と呼ばれている。)はイスラム時代モスクの鐘楼だったものにキリスト文化を付け足していったもので、町のどこからでも見ることが出来る景観的に町のどこからでも見ることが出来る景観的にもこの町の象徴的な建築物であった。高さ70mの所には展望台があるのだが、あいにく日曜日ということで登ることが出来ず、そこからの眺望を経験できず残念であった。

写真8 ヒラルダの塔       

             (渡辺 善彦)
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