換気のうそ&ほんと

「換気」とは、室内の汚れた空気と、新鮮な外気とを入れ換えることを言う。

室内の空気の流れは、川の流れに大変似ている。

窓などの出入り口の、開口部の面積が広ければ広いほど、高低差が多ければ多いほど入れ代わる空気は多くなり、

その開口部の面積が狭ければ狭いほど、高低差が少なければ少ないほど入れ代わる空気が少なくなり、

流れの本流から外れれば外れるほど、淀みも出来、たまる塵や埃も多くなる。

 

換気の現実

部屋の空間を浴室の浴槽に置き換えてみると、

水を一杯ためた浴槽で、水面近くの電動ポンプを動かしても、水に沈んでいる部分の水しか汲み出せなく、

水面近くから水を注ぎ込めば水面近くの水だけが汲み出され、浴槽の中に流れはなく、浴槽の中の水は入れ代わらない。

天井の換気扇を動かしても、給気口がなければ、換気扇はただ空回りしているだけで、室内の空気は換気されていないし、

天井近くに給気口を設ければ、天井付近の空気だけが入れ代わる。

天井に給排気換気扇を設ければ、室内の汚れた空気と新鮮な外気とをかき混ぜて、汚れを薄めて排気することになり、

濃度の差はあれ、いつも室内は汚れ、室内の汚れた空気と、新鮮な外気とを入れ換えることは出来ない。



湿気の現実

「換気」の役割は、酸素を供給し、熱気、湿気、臭気と粉塵を除去することにある。

熱気はもちろん、呼吸で吐き出された呼気はあたたかく、臭気や粉塵はあたたかい空気で運ばれ易いので「換気」し易い。

「湿気」は水蒸気圧という圧力で室内はもちろん、間仕切壁を透して、同じ「湿気」になろうとする。

その「湿気」は、空気の温度によって、空気中に含むことが出来る量が異なり、温度が高いほど多くなる。

同じ「湿気」であっても、室内に温度差があれば、低い温度の所で湿度が高くなり、重くなって床面に淀み、

高い温度の所で湿度が低くなり、軽くなって天井面にただよう。

「湿気」は、換気扇や給排気換気扇の汚れを薄めて排気する換気では除去出来ない。



結露の現実

「結露」は湿気による水分の蓄積である。

湿った空気と接する壁などとの間に温度差があると、空気の湿気が壁などに移動して、飽和状態になれば結露になる。

金属やガラスのように、湿気を透さない物ではその表面に結露し、

湿気を透す合板や断熱材ではその表面や内部で結露する。

いずれにしても、湿気があり、温度差がある以上、結露は何処かで必ず起るものである。

目に見える箇所に、計画的に結露させるか、

さもなければ、1日から1年の間に、確実に、吸湿と放湿を可能にする材料や工法を取り入れることである。



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